続々 ❝空・くう❞のお話

ご案内のように、2500年前に仏陀が色んな人々に質問され、それらに関してあえて答えなかったものがいくつかあるんですね。 それを「無記」というんですけれども、まぁだいたいは宇宙の無限性とか霊魂・死後の問題とかね、

いわゆる形而上学的なテーマなんかもそうなんだけれど、例えばそういった質問に対して明言したり、議論したりしても大して役に立つものではないといったスタンスなんでしょうね。

仏陀曰く、『我々は、日々こういった“苦”の海にいるわけなんだから、どうしたら苦しみが無くなるのかといった問題のほうを優先にして、まずそちらの方に目を向けましょうよ・・』ということだったのでしょうね。ですから、『時間も空間も、知恵も無限である・・』とか『生命の創造とDNA・・云々』とかね

『細胞のなかの微粒子にも宇宙があって、その惑星のなかにも知的生命体がいて・・』とかね、その時代からしてそういったレベルのモノは公言しなかったんだろうなというのは、おおよそ推察できるんではないかと思うんですね。

 例えば、今だって子供たちが飢えと病気で苦しんでいるどこかの難民キャンプ地に、可哀想だといってパソコンとかダイエットマシーンを持って行っても何の意味もないでしょうし、それよりも“いま”必要なのは、食料とかペニシリンとかの薬なわけですからね。

これも有名な仏陀の「毒矢のたとえ」があるように、「毒矢を受けたにもかかわらず、この矢を打ったのは誰だとか、男か女かとかね、そんな詮索をしてるうちに死んでしまうわけですからね。まず矢を抜いて、手当てをすることがまず先決問題なんだ・・」と、その時代はそういったことなのでしょうね・・・。

・・まぁそこで時を経て、その「無記」にあたるいくつかの問いに答えた内容が、そのエロヒムの『メッセージ』のなかにあったということなんですが、この『メッセージ』を御覧になると解かるように、

仏陀が2500年のあいだ無記ということで、やり残したジグソーパズルのごとく、空けておいた処にピタッとハマる“答え”がこの『メッセージ』のなかの、あちこちにキラ星のごとく在るわけなんですね。

 まぁフツーはこれで一件落着といったところなんですが、なぜか仏教に“空・くう”といった面白い言葉があって、なぜかそこの部分にスポットがポツンと当たっているんですね。空観、空の哲学とか、色即是空といったように使われているその“空”のことなんですね。

その空の原語(サンスクリット)の意味を簡単に云うと、 「空っぽ、空虚、何も無い状態」といった意味なんです。しかし、これほど仏陀の無記の根拠になっている語もないと思うんですね。

 つまり、空・くうというのは先ほど云ったジグソーパズルの“すき間”の部分と同じという事を言っているわけで、その時代だからこそ答えようが無い、あるいは当時の人々にはまだ理解できないので答えない・・・ということ。

・・結局見てみるとその部分がスッポリと穴があいたように、「空虚・何も無い状態」だということなんですね。しかしここがポイントなわけで、後になってその時が来ると解かるようになる・・ということ。

 そして、「色即是空」といったフレーズもその事を云っているわけでして、“色・しき”この意味するものは「物質、目にみえるモノすべて」といった意味です。これも幅の広い意味合いなんだけれども、この“色・しき”つまり我々にも観える世界、我々の理解能力の範囲内において解かるモノということですね。

こういったモノと“空・くう”(そのうち理解できるモノ・目には見えない世界)とは、つまり即=つながっている・一緒、不二だということなんですね。まぁ、来るべき時が来ると、誰もが理解できるようになるということですよ。

 つまり、何を云いたいのかといいますと、かつて仏陀が「無記」にしていたモノに対しての答えを網羅した、そのエッセンスがこの『“空・くう”といった一文字のなかに凝縮している・・・』というわけなんですね。

そこで、仏教の云う“空・くう”のこのすき間を埋めたその語の真相とその定義を、『般若心経』のなかで仏陀が弟子のシャーリプトラに語るセリフを借りて云うならば・・・。

 『・・限りなく小さな世界に住む生命も、また限りなく大きな世界に存在する生命も、あらゆる生命の基礎というものは、遺伝子・DNAによって成り立っている。そしてすべての生命は、この遺伝子・DNAを基に、科学的に創造される。

そして、その生命の創造が高度な科学(知恵)を得た人間よって、この無限の宇宙の果てしない無限という時間のなかで、繰り返し行われているのだ・・・』と、こういったことになるわけです。

 これをスパッと簡単に云うとこうなるんですね。世界で最も美しく、完全無比なる公式『色即是空・・色すなわちこれ空なり・・』・・我々に見える世界も、我々に見えない世界も一緒・・というわけです・・・。

ここで一句

時くれば すべて解かると 無記にする